裏日記。
はてなでは書けない愚痴とか裏話。表より表現が痛い可能性大です。

もどるべ。   

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9月21日

モノローグ風味に。


ここに閉じ込められて何日が経っただろう。
窓も無いこの部屋は、太陽の光が差し込む事はない。
時間の感覚を、失わせてくれる。

コッ、コッ、コッ――。
また、足音が聞こえる。そして、ガチャリと扉を開けるのだろう。

ガチャリ。

「やっほー。やっぱり美少女さんはこういう姿がお似合いだねぇ」
「一体、何のつもりで私をここに閉じ込めておくのです?」
「趣味に決まってるじゃん。悲劇のヒロインさんは、わるーい奴に捕まっちゃうって相場が決まっているじゃない?」
「……悪趣味」
「何とでも言えば良いさー」

褐色肌の憎たらしい女の子。名前はグレースというらしい。
私を拉致し、牢屋に閉じ込めてくれた。

「今日はね、ボクの話を聞いて欲しいんだよ」
「貴女の話を聞くような耳は持ち合わせていませんわ」
「あっはっはー、流石はお嬢様だ! 自分に都合の悪い事には、全て蓋をしちゃうんだー」
「だから、どうしたっていうのです……?」
「うんうん、そういう目は好きだなー。キミ、柱に縛られちゃってるけど、そんなのお構いなしにガンつけるその目。いいねぇ。
 あ、舌噛み切ろうとしてもムダだからねー。首も動かせないように括ってあるから」
「そんなの、判ってます。」

アイツの、いつもの会話。
本題に入る前に、必ずしょうもないムダ話を挟む。
その余裕が、どうしようもなく腹が立つ。

「さて、今日の話題は、モチベーションが上がらないって嘆いている物書きの話だね」
「……はい?」

もちべーしょん? 聞きなれない言葉に、思わず首をかしげる――ような仕草をした。

「要は『やる気』だよ。あの物書き、言う事だけは一丁前だからね、少しお灸を添えてやらないといけないねぇ」
「……はぁ?」
「奴はモチベーションが下がっていると言っているけど、それは格好が良いからだろう。
 モチベーションが上がらん上がらんって言っていれば、他の誰かがアドバイスをくれたり、励ましてくれる事を望んでる」
「…………」
「もし仮に、何か励ましを贈られても、それじゃ足らないって言って、再び激励をもらえるような書き込みをする。
 ったく、自分に自信が無いにも程があるよね」
「…………」
「人間ってやつは面白いよねー。贅沢が過ぎるって言うか、一つ甘い汁の味を覚えたら、それに何時までもしゃぶりつけるような錯覚に陥る。
 それで、自分は幸せだって勘違いするんだもんなー、思い違いも甚だしいよ」
「…………」

この女の子は、一体何を言おうとしているんだろう……?

「結局、やる気が出ないのは、アレだろう? 物を書くことに怖くなってしまったんだろう?
だから他の人からの賞賛が欲しいし、それに見合うだけのものが書けるだろうかって、不安になってんだろうよー」
「……でも、やる気が出ないのは、それだけが原因ではないような気が――」
「怖がって何も書けないガキに、私達を書いて欲しくないね」

彼女は、苦痛と嘲笑が入り混じったような笑顔を、私にくれた。
くれた所で、貰う義理など無いけれども。

「全く、何に怖がってんだかわからんちんだけどさー。物語の整合性? シナリオとしての面白さ?
 私にとっちゃ、そんなの二の次でしかないんだけどねぇ」
「そう……なの?」
「やりたい事が明確になってない。だから、キャラクターも与えられたレールに沿って動くしかない。
 しかも、致命的なことは、そのレールが途中で途切れてる。目的地が、たとえ崖だったとしても、『これはダメだ』っていう事は判る。
 しかし、奴はそれすらしないんだよねー。全てにおいて中途半端っていうかねー」
「中途半端、なんだ」
「そ。大体、私達差し置いて他のシナリオに手を出しちゃうなんて、浮気性にも程があるってもんだわさ」
「……それは、酷いですね」
「酷いっしょー! キミと気が合うなんて、初めてじゃないのかな? かな?」
「そんなの、どうでも良い事ですわ」

……しかし、気になる。物事を中途半端で投げ出して、あまつさえそれで「モチベーションが無い」って駄々こねているなんて。
どこの誰かしら。その顔を拝見してみたいものね。

「わーちゃんだよ」
「わ、わーちゃん?」
「そ、これを書いている、わーちゃん。んー、本人はどう思ってんだろうねぇ。鈍いから、ここの存在にも気付いていないんじゃない?」
「私たちが喋っていることを?」
「そゆこと。つか、ここを見てる人がいるかどうかも怪しいんだけどねー」
「そんな哀しい事、言わないで下さいっ。私たちだって、ちゃんと存在しているじゃないですか」

私は、負けたくない。
理由は、判らない。
けれども、グレースにだけは、屈服したくないから。

「わーちゃんっていう人も、更生すれば、その中途半端なところも直す事が出来ます!」
「ありゃ無理だね。心のすみっこにへばりついているような気がするよ」
「それでも! 私は、【絶】対に諦めませんわっ!」

 

……何書いてんだろう、僕は。

 

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